オランダレポート第二弾! 色々な豆、ナッツ、穀物も発酵! 有機テンペブランド「My Vegan Fam」

 Hi! 皆様お元気ですか?veggy online海外情報のオランダ担当の田中麻姫子です。

 今回は、veggy72号「腸免疫力」について連動したトピックをお届けします。コロナ禍のタイミングで、より身近になった菌のおはなし。マイクロバイオームについても少し述べています。

 

インドネシアのネイティブ
発酵スーパーフード「テンペ」

 オランダ・アムステルダムで今年スタートしたばかりのテンペブランドMy Vegan Fam

 日本が世界に誇るマクロビオティックの権威・クシインスティチュート in EU併設の食料品店で長年勤務してきたValentina Manelaさんがプロデュースを手がける。(因みに、同所はその長い歴史を今秋閉じることになった。筆者がオランダに移住するきっかけでもあったので、残念です)

 テンペは、「インドネシア発祥の納豆」と称される、数百年以上前から食されている古代食。同ブランドは、一般的な原材料の大豆に限らず、あらゆる豆やナッツ、穀物も使うオリジナリティーがウリだ。マスプロダクションと違い、保存殺菌や流通過程が無いため、出来立てのフレッシュさを一度味わうと、「以前には戻れない」と既に多くのファンを獲得している。

 テンペの作り方は、納豆とほぼ同じ。加熱した素材をハイビスカスやバナナの葉にくるみ、発酵させるのが本来の手法。納豆菌が枯れ草や藁、空気中に自然に存在するように、それらの葉にも発酵を促す天然のカビが生育している。納豆と違い、あの匂いも粘りもない。お肉のような独特の食感は、料理のアレンジし甲斐がある食材だといつも思う。

 栄養面も優等生。タンパク質は100g中15.8g、ビタミンB群、中でもB12生成を促す成分も含まれているので、ヴィーガン読者にはオススメのパワーフード。抗酸化性、消化吸収も優秀。発酵食品がなぜ素晴らしいかというと、菌が食品に含まれる栄養素を、我々の体が吸収しやすいよう小さく分解してくれるからだ。そして、イソフラボンと食物繊維のコンビネーションは、数値以上の効果が期待できる組み合わせともいわれている。

 因みにインドネシアはオランダの植民地だった歴史がある。そのため、インドネシア料理は非常にポピュラーで、大抵のスーパーマーケットには、チリペーストの一種・サンバルなどの調味料、乾麺、えびせんなどが揃う食材コーナーが設けられている。

自作アプローチを続ける
“ヴィーガンジャーニー”

 Valentinaさんは、当時から交際していた夫と18歳の時からヴィーガンのライフスタイルを送り始めた。

「人間の味覚を満たすために、動物を檻に閉じ込めて殺傷する権利は人間には無いし、いかなる生命や動物を傷つけたくなかった。その責任を果たしたいと思った。プラントベース料理は、その他の料理よりもっと美味しく、楽しくなりうるわ!動物を傷つけずにね」

 ヴィーガンになって数年後。マクロビオティックの本や記事に出会い、その自然の摂理に叶った提唱に感銘を受けた。

「なんだか本が話しかけてきたようだった。それで私たちは、もっと自然と繋がって生きようと、汚染された都会のミラノを出て、美しいイタリアのアルプスの小さな村で生活を始めたの。そこで、私たちは有機食品のお店を営みはじめた。オーガニックやヴィーガニズムを人々に広めるためだけでなく、いわゆるマクロビオティックをアプローチするために、全粒穀物、季節の野菜、豆などを売っていたの」

インスピレーションに従い、移住したアルプスの麓の小さな村

当時、営んでいたオーガニック食材店

 

 “ヴィーガンジャーニー”と彼女が呼ぶ軌跡。ヴィーガンとしての食生活だけではなく、既存のシステムから抜け出して、より自給に向かうのは自然な流れだった。自宅で作り始めたサワードウブレッド、豆腐、セイタン、コンブチャ。そして、テンペ。

彼女のアートワーク。左から、サワードウ(パンの天然酵母)、塩麹、大豆&ピーナッツテンペ、コンブチャ

見事な自家製ブレッド!

コンブチャ スコービー

 

テンペにしたら、娘が豆を食べた

「テンペ作りはハマってしまったわね。私の一番下の娘が、テンペにしたら豆を食べるのよ。煮込んでもサラダにしても何をしても食べなかったのに。びっくりよね。テンペなら全部残さずに食べるの。これが、私が様々な種類の豆や穀物を使ってテンペを作るようになった一つの理由。結果にはとても満足してる!」

 10年前、彼女が初めてテンペを口にした時のこと。実は、心から好きになれなかったと明かす。オーガニックストアで売られている商品だったとしても、醤油などの調味料で味付けされた既製品は、彼女にとっては「別物」だった。「だけど、夫はそれを好きだったし、そこから、自分たちでどうやって美味しく作れるかを探り始めることにしたの」。

クリーミー、お肉のようなふくよかさ…グルメな変化球テンペたち

 

 彼女のアルチザンテンペを紹介しよう。

◉大豆&ピーナッツは、リッチなコク、クリーミーな食感を提供。ピーナッツのほんのりした余韻が特徴。

◉レンズ豆:このテンペはヨーロッパ人にとってより「馴染みのある・親しみのある」味。地中海料理によく合う。

◉黒豆:肉を食べる人や、より歯ごたえのある食感と強い味を好む人々から最も愛されている。

◉ひよこ豆:優しい味。人々は鶏肉を思い出させるという。

◉エンドウ豆:これはオランダのキッチンでおなじみの味。エンドウ豆のストレートな味わい。

◉キドニービーンズ:並外れたクリーミーさ。ぎゅっと濃縮されたコクのあるフレーバーが人気。

 豆以外にも、ソバ、ヘーゼルナッツ、キヌア、ごまなどのシード類、大麦、米などをミックスすることも。勿論、全てオーガニックメイド!

 「もっと様々な組み合わせを試してみたい」と、探索の旅はまだまだ続く。

 

マイクロバイオームに好影響!
体重も減った。スナックを欲しなくなった。

 テンペというスーパーフードを取り入れる生活をして、心身にどんな影響があったのか聞いてみた。

 「テンペとコンブチャの組み合わせにより体重が減り、特に夕食後の甘いスナックを欲しなくなったと思います。 この発酵食品のおかげで、腸内のマイクロバイオームが良くなったのだと思い、自然と不健康な食べ物への渇望が止みました。 この主題については、興味深い文献がたくさんありますよ」と、話してくれた。

 マイクロバイオームとは、マイクロバイオータ(ある環境に存在する微生物の集合体・細菌嚢)の持つゲノム情報・遺伝子群のこと。ヒトの体は、約37兆もの細胞で出来ているといわれているが、実は細胞を動かす舵を握っているのは、体内に共在し、細胞数を軽く凌駕する細菌や真菌などの微生物たち。

 細菌の状態の重要性が、ヒトゲノムの研究が進むと共に判明している。

 2010年、欧州の研究者により、ヒトの消化器に1000種以上、330万の微生物の遺伝子があることが判明した。これはヒトの遺伝子約2万2千の150倍ほどにも上る。その後、日本人の腸内細菌嚢には500万の微生物があり、西洋人にはみられない海藻を消化する酵素を持つことや、ビフィズス菌が優勢な特異性なども明らかになっている。

 ヒトのDNAは、99.9%が同じだが、マイクロバイオームの構成が同じ人は、誰一人としていない。この状態と、肥満などの現代病や自己免疫疾患、自閉症などの精神疾患との関係性が指摘されはじめ、腸活や腸内フローラという言葉が生まれた所以となった。

この時節に、微生物が動かす世界に
思いを馳せてみる

 奇しくも、コロナアウトブレイクにより、微生物、菌、ウィルスといった目に見えないものたちと私たちは同じ環境に存在していることが、ぐっと顕在意識レベルの事象になった今、マイクロバイオームが語ることは、非常に興味深い。

 私事で恐縮なのだが、今年人生で初めて畑を借りて、自然農にチャレンジしている。なかなかの仕事量、その奥深さに打ちのめされつつ、良い学びの機会になっている。

 過去に酵素風呂で勤務したり、味噌なんかを作ったり、発酵は生活の一部でもあったのだが、実際に土に触れて、奇跡のような生物のアクティビティを目の当たりにした。生まれて朽ちて、自ずと循環する。生産力から免疫系まで、全ては微生物たちが動かす完璧なバランスのエコシステムが、自然界には既に成立しているのだ。

 実は、研究者が実験室で培養できるバクテリアは、土壌に生息する1%にも満たないほどだというのは、少し皮肉な話にも聞こえる。生命の深淵な神秘の世界は、私たちの手に到底及ばないようだ。

 除菌、抗生物質を投与し続けた結果、ウィルスに対する有益な菌は死滅し、悪性菌は耐性を持つ一面があり、その耐性を持った菌に対し、生物の免疫系が立ち向かえなくなると、お手上げなのが今の臨床医学の実在。

 共生の道を探るようなホメオスタシスは、やはりキーだ。外部者から免疫系を守るバリア機能も、ヒト常在菌の成せる技であり、その大切さを理解すれば、除菌や推奨されるプロトコルはナンセンス。コロナ自身もウイルスゆえ、単独で生存することはできず、寄生するホストの命が絶えれば、自身も共倒れする。そして、彼らはホストの感情や波動に影響されるといわれる。あなたが怒り恐れていれば、コロナちゃんも同調する。悪さする。じゃあ、どうするか?

 捉え方を拡大すると、これは人の体に起こっていることだけじゃなくて、社会の縮図のような気がしないでもない。あー、これがワンネスの世界に生きてるってことかもな。

 ドラスティックだけど、見えない存在のヤツらは、ソーシャルディスタンスや排斥の距離感から、むしろ思いやり助け合うことや、誰かの都合や利益を優先したシステムの“変異”から、考え直して修復するきっかけを与えてくれたんじゃないか、とポジティブなシンクロニシティーをこの取材で改めて感じたのでした。

 現在、Valentinaさんはオンラインワークショップも開催中。健康的なライフスタイルのコーチングアドバイスも受けられる。この機会に、リモートで恩恵に預かって、DIYしてみては?

Webサイト:myveganfam.com

Instagram:instagram.com/my_vegan_fam

Facebook:facebook.com/myveganfam

 

ライター・田中麻姫子

大阪府出身。新聞記者として従事していた2011年、東北大震災をきっかけに意識と価値観の変容が起こり、ヴィーガンに。マクロビオティック、ローフードを実践。自他共に優しく、未来への投資のためのサステイナブルな消費活動やライフスタイルを楽しみ、宇宙や自然の法則、ホリスティックで有機的であることの意義を哲学する日々。
ドイツ・ベルリン移住後、ローチョコレートのケータリングなどを行い、2017年、オランダ・アムステルダムのKushi instituut併設レストラン「Deshima」勤務のち、現地でフリーランスヴィーガンシェフとして従事。himeee名義でDJや音楽活動も行う。オフグリッドを目指し、占星術&ビオダイナミッシュを取り入れつつの自然農にも挑戦中。

>>>オランダレポート第一弾! ビーガン&グルテンフリーピッツェリア

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