ハワイの夫婦「おひさまファームズ」徒然日記 Vol.1

 

アロハ!ハワイの「おひさまファームズ」代表のヒデキこと山根英樹です。これから私たち夫婦がハワイでの日々の雑感などを徒然なるままにお伝えしていきたいと思っています。前半は私が、後半は妻ユキが担当します。

 

まずは私ヒデキから簡単な自己紹介を。私はヒッピー全盛期のサンフランシスコで生まれ、幼少期から東京で過ごしました。その後、日米間の引っ越しを何度か経験。大学卒業後は都内の広告代理店に。その後、転職のため渡米しニューヨークへ。大手旅行代理店でマーケティングを担当し4年後に帰国。東京にあるオーストラリアの政府機関で農産物や食品などの貿易促進・対日投資などに携わり15年後に退官しハワイに移住しました。

 

 

ハワイ州政府農務省の市場開発専門官という正職員として、ハワイを含む米国農産品のグローバル・マーケティングと農業団体等への助成金管理の仕事に携わりました。その後、安定した公務員の仕事を退官しロンドンの経営大学院に留学。修了後の2020年3月、ロックダウン当日にホノルルに戻りました。それからハワイの大手銀行に就職しましたが仕事に馴染めず退職。その後の人生を模索している中で、農業に実際に関わってみたいと強く思うようになりました。

 

そこで全米最大の就農プログラムである「GoFarm Hawaii」に2022年の春から参加し、8カ月間にわたる作業、訓練、学習などを経て昨年11月無事に卒業しました。現在は日本的な野菜、果物、ハーブやお米を育ててハワイのコミュニティに提供するべく、オアフ島内で農地取得のために準備中です。農業法人の名前は「おひさまファームズ」。その名前は太陽が燦々と輝くハワイの自然への感謝を込めて命名しました。

 

 

農業を始めようとした理由は、組織に縛られず自由に生きたかったこと。幼い頃から土いじりが好きで、自分の手で何かを作り出すのが好きだったこと。そして20年以上に渉り外国公務員として農業に間接的に関わった中で、さまざまな農家の方々のパッションやビジョンに共感したこと。そして米本土からの輸入に依存するハワイの15%以下という自給率の向上に少しでも尽力したいと思ったことなどです。

 

ハワイ王朝の頃からの標語に『Ua mau ke ea o ka ʻāina i ka pono(ウア・マウ・ケ・エア・オ・カ・アイナ・カ・ポノ)』という言葉があります。その解釈は諸説ありますが「土地の命は正義とともに生き続ける」というもの。ハワイでは今、環境負荷を与え過ぎた砂糖きびやパイナップルなどの大規模農業から脱却し、環境に優しい方法で多品種を小規模で生産する農業(マーケットガードナー)が増えてきています。自分もそういった農業を目指しています。

 

 

ハワイ生活は11年目となりましたが、東京にいた頃には気がつかなかった当たり前にある自然の営みに感動する毎日です。明け方、肌を撫でる優しい潮風の匂い、小鳥のさえずり、草の間から出てくる虫たち、仕事の後のサーフィンをしている時に触れる水の清らかさ。この島に生かされていることに感謝しています。ハワイに移住した当初は自分が農業に携わるなど思いもしませんでした。今、収入はかなり減りましたが社会に縛られずに自分のペースで生きることにささやかな幸せを感じています。次回に続きます……

 

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はじめまして。夫ヒデキに引き続き、おひさまファームズのユキです。実はおひさまファームズには、農業以外の畑がたくさんあります。それはヒデキが担当する、通称「ビジネス畑」であるコンサルティング業と不動産業。そして虫に近づくことすらできない私の、「芸術畑」と「神秘畑」です。

 

幸か不幸か、私は幼い頃から少しばかり不思議な感覚器と共に生きてきました。それは長らく本業としてきた創作の大切な源でもありますが、便宜的上「宇宙の神秘を読む」などと表現したりもします。そんなちょっと不思議な感覚器を用いて、おひさまファームズの芸術畑と神秘畑を日々耕しているという具合です。

 

 

これら色の違う畑の混在に、違和感を覚える方もいるかもしれません。ただ、私の本分である目に見えない世界を扱う精神的な分野と、ヒデキが得意とする実態や物質を扱う分野は、今後より一層互いを必要としていくと私自身は考えています。時代の急激な変化がその理由ですが、いにしえの統計学である星や数字も、現在が不可避の過渡期であることを伝えてやみません。

 

その過程で、この世からは多くの要素が淘汰されるのではないかと感じていますが、なぜなら精神性が物質性と融合する時、無駄なものがなくなるからです。その仕組みは、菜食を例にとると容易に理解できると思います。おひさまファームズはそんな菜食のような農を目指していますが、しかし商業ベースともなるとやはり一筋縄ではいきません。ハワイでの農業があらゆる面で厳しいことが前提としてありますが、その最たる原因は、これまでの物質一辺倒社会が生み出した商業システムです。巨大で頑強なシステムですが、不可避の過渡期は、きっとそこにも訪れていることでしょう。

 

過渡期とはつまり破壊期でもあり、カタストロフィーをゴールとしたある種の競技に近いと私は感じています。農業や食糧の意図的な破壊が世界中で進んでいることも、既に多くの人の知るところだと思います。ゆえに我々も農業展開の方向を今は定めにくく、家庭規模での野菜を育てながら、しばらくは状況を静観しなくてはいけない気がしています。

 

加えて、アメリカは政権で政策がガラリと変わる国です。州ごとに違う農業への制度も、その影響を少なからず受けます。そして、アメリカが変わると日本も変わる。ひいては世界が変わります。まだまだ大きな変化がもたらされるであろうことは、宇宙の神秘が伝えるところでもあり、この過渡期のゴールポストをどこまで神意の方向にずらせるのかは、個々の選択にかかっていると感じます。

 

しかし、どんなに世界が混乱を極めたとしても、日々をこなしていかなければならないのがほとんどの人間です。そして人間という不思議な生き物の本能には「生活を組み立てて楽しんでいく」といった類のものがあると思っています。

 

私たち夫婦はスーパーマーケットでの買い物が大好きで、一般的な家庭よりも必要以上に足を運んでいるかもしれません。ドライブも兼ねてわざわざ遠い街のスーパーへ買い物に行くのが楽しみであることは、数少ない二人の共通点の一つです。また、真新しいものを見つけると試したくなるところも同じですが、長く農業や食品に携わってきたヒデキにとっては、「全ては市場調査の一環」とのことです。いずれにしても、楽しみながら仕事に活かせるのは良いことであります。

 

先日はこんなことがありました。某スーパーマーケットにて衝撃価格のパンプキンパイに出会ったのですが、そのパイはオーガニック原料のみを使用したヴィーガンであるにも関わらず、ハワイのどんなパイよりも安いホールパイだったのです。二人で首をかしげながらも心は沸き立っていたのですが、パンプキンパイといえばアメリカでは秋から年末にかけてのホリデーシーズンを彩る定番デザートです。年明けのこの時期、どこのスーパーでもシーズンものが在庫処分セールになります。きっと賞味期限の関係で激安価格になっているのだろうと思い、そのパイを躊躇なく購入して、翌朝いただいてみることにしました。

 

 

ヒデキと二人、期待を胸にそれぞれが一口食べて、二人共にフォークが止まりました。安さの理由はその味と食感だったというわけです。ある意味ではその味に懐かしさを感じましたが、それはつまりヴィーガンデザートの黎明期を思い出させるものだったからです。ちなみに購入時には確認しなかった賞味期限に関しては、全く問題のない状態でした。

 

そして私たちは、目の前に残るパイの未来を案じ始めました。「こんなにたくさんあるのにどうしよう」。しかし成分表をよく見ると、フィリングはパンプキンペースト、豆腐、豆乳、少しのケーンシュガーとシナモンだけをキサンタンガムで固めたシンプルなものでした。だからこその味と食感なわけですが、ならば試しにと、スムージーの材料としていただいてみることにしました。

 

 

オーツミルクと冷凍ブルーベリー、セロリとのミックスです。パイとは打って変わってこちらは大正解でした。脇役として生まれ変わったフィリングはとても美味しくいただけました。クラストの方は、オーブンで焼き直してまた別でいただこうと思っています。

 

ちなみに宇宙の神秘は、当たり前といえば当たり前ですが、食べる前に味を教えてはくれません。基本的には個人の自由意志には介入せず、個の成長を妨げるようなこともしないため、無慈悲に思えるほど静かに見守るのがデフォルトの設定です。だから皆、盛大に失敗をします。かつて宇宙の神秘は、「失敗は宝探しである」と私に表現しました。失敗をすることで宝物を見つけるという意味と、失敗を見つけることそのものが宝探しである、という二つの意味が重なっています。2023年、今年もそんな宝探しを繰り返しながら、日進月歩できるといいなと思っています。

 

 


おひさまファームズ

ヒデキ

サンフランシスコ生まれ。東京育ち。ホノルル在住。広告代理店、旅行代理店、豪州クィーンズランド州政府、ハワイ州政府農務省、イギリスの大学院、ハワイの大手銀行勤務を経て独立。コンサルティング、不動産、米国農務省統計局の調査員の仕事の傍ら農業に従事。著書に「小さな会社でもできる海外取引」「グローバル職人になろう!」「漂流アロハ」などがある。

ユキ

絵と音楽と物語の創作家、宇宙の神秘を読む夢想家。米国の大学を卒業後、神授的な創作の仕事に長く携わる。芸術分野の他、神秘哲学、占星術、数秘術、各種卜術、古代史、神話学、宗教学、図像学、色彩学などに明るく、食や代替療法も探究。「雪猫座」の名でYouTubeチャンネルを準備中。

 

HP: www.ohisamafarms.com

Instagram: @ohisama_farms

YouTube: @ohisamafarms

 

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