バッド・ヴィーガン サルマ・メルンガイリスの栄光と転落

NETFLIX『バッド・ヴィーガン』の真相!?

ローフードレストラン「ピュア・フード・アンド・ワイン」のカリスマスオーナー、サルマ・メルンガイリスの連載

2022年3月16日からNETFLIXで一挙配信開始されたドキュメンタリーリミテッドシリーズ『バッド・ヴィーガン:サルマ・メルンガイリスの栄光と転落』はご覧になりましたか?  NETFLIXで話題を集めた多くのドキュメンタリーの中でも、配信1ヶ月の視聴数が2000万世帯を越えた『FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー』のクリス・スミスが監督を手がけ、同じく話題の『タイガーキング』の制作陣がプロデュースを担当したと書くだけで、ドキュメンタリー好きの人たちなら「マストの作品」だと思うはず。

このドキュメンタリーによって、ようやく2015年に起こったサルマ・メルンガイリスの事件の真相が明るみになってよかったと感じますが、彼女に降りかかった出来事は他人事ではありません。誰でも彼女のような洗脳に陥る危険性は、ごく身近に潜んでいるのです。昨今、世界中が混沌とした情勢に翻弄されている今だからこそ、多くの人々が観るべきドキュメンタリーだと感じています。

実はveggyは、創刊号からサルマのお店を紹介していて、2009年に発売したvol.7からは、当時ニューヨークで最も話題になっていたローフードレストラン「PURE FOOD AND WINE」のカリスマスオーナーとして、サルマ・メルンガイリスの連載「Raw Food Beauty/ローフード美人の法則」をスタート。そしてあの事件のキッカケとなる事象の前までその連載は続いたのです。

残念ながらサルマの連載が掲載された号は全て完売してしまったので、オンラインで第一回目の連載をアップしたいと思います。

色んな事情があったにせよ、彼女がどれだけヴィーガンフードや健康に対して情熱を捧げていたか、過去の連載から感じ取っていただければと思います。

 

NETFLIX『バッド・ヴィーガン:サルマ・メルンガイリスの栄光と転落』
https://www.netflix.com/jp/title/81470938

Raw Food Beauty

ローフード美人の法則 Vol.1 

Text by Sarma Melngailis  
Photos by Pure Food and Wine and Ryu Kodama
Coordination&Translation Chie Goto (後藤千枝)

 

ローフードへの道のり

 

多くの方から“どのようにしてローフードに目覚めたの?”と、よく質問されます。私はニューヨークでローフードレストランをオープンさせ経営し、ネットからも購入可能なローフード食品、ナチュラルスキンケア商品、より自然な生活を送ることをサポートするグッズなども手がけています。ローフードは、ベジタリアン食ですが、酵素や栄養素を壊さないように一定の温度以上加熱しません。ベジタリアンではなかった私がどのようにしてローフードへの道を歩むようになったのでしょうか……。

 

私の生い立ち

 

私の母はプロのシェフで、フランス料理を専門とし、欧州出身の父は美味しい料理を食べることが大好きでした。幸運なことにも両親は、質のよい食品を重要と考えていましたので、幼少期、私は肉、魚、チーズ、あらゆる食材を口にしたのですが、ジャンクフードだけは食べずに過ごすことができました。ところが成長するにつれ自分の体重が気になり始め、気がつけばダイエットコークをはじめ、数多くのダイエット食品に手をだし、大学時代は脂肪分のある食品を恐れ、良質、悪質の脂肪関係なく、脂肪分のある食べ物を一切口にしなくなりました。

大学卒業後、私はウォールストリートに勤務しはじめました。金融の中心であるニューヨークでの仕事はタフなもので、2年間もの間、週に100時間以上働き、睡魔に襲われないようにするために、1日に12本ものダイエットコークを飲んでいました。この仕事のあと、さらに3年半もの期間、金融業界に私は居続けました。仕事の量は減ったものの幸福だと感じたことはなく、自分のしていることに情熱を持つことさえできませんでした。仕事仲間たちはいつもお金や株の話をし、ウォールストリートジャーナル紙やファイナンスの雑誌を読んでばかり。その一方で自分は、家で食べ物の雑誌ばかりに目を通していました。仕事仲間たちがどの車を購入したいか話している間、私はいつも、どのレストランに行きたいかを語り、レストラン巡りや料理をすることに夢中で、週末に自由な時間がとれるたびに、美しそうな食材を購入して調理していました。

 

自分のやりがいを求めて

料理学校へ通い始める

 

そんなある日、私は勇気をだしてようやく金融界を去る決意をし、ニューヨークのフランス料理学校へ入学しました。6ヶ月間のプログラムで、在学中に、5キロ以上も太ってしまいました。原因はたっぷりの生クリームとバターでの調理です。肉を処理する方法、どのように鶏やアヒルを解体するのか、また、あらゆる魚の切り方をも学びました。クリーミーなデザートの作り方も習い、試食もしたのですが、美味ではあるものの、どうも、この濃厚で重い味の料理を私は好きになれませんでした。料理するのは好きですが、熱いグリル、揚げ物用に熱した油が入った鍋の前で立っていることは苦手でした。何日かが過ぎたころ、自分自身が重く感じ、フライドポテトやグリルされた肉の香りまでもが体にしみつき体臭となり、なんと自分の髪の毛までもが調理した食べ物の臭いを放つようになりました。

料理学校を卒業後、2年間、レストラン業界で働きました。そんなある日、友人が私をローフード・カフェに連れていってくれました。最初は乗る気ではなく、数多くの人々が思っているように、私自身もヴィーガン料理は味気なく美味しくないと考えていました。ところが、私はそのレストランで大変なショックを受けてしまいました。ローフードがあまりにも新鮮で美味しく様々な味に満ちていたからです。それ以上に驚いたのは、食後の自分自身の体調と感情の変化で、沢山食べたにも関わらず、とても心地良く感じました。通常、レストランへ食事に行って飲食すると、すぐに私は眠たくなってしまうのですが、このときは別で、ローフードをたくさん口にしたにも関わらず、エネルギーに満ち溢れ、街のあちこちを散歩したいような、踊りだしたいような気分になったのです。ディナーの最中に友人が、どうしてローフードを食べ始めたのか話してくれたのですが、それはとても納得のいくものでした。

 

天使のささやき

 

そして私もこのローフードとやらに興味を持ち始めました。そしてそのお店の料理は確かに美味しいのですが、きっともっと美味しくすることができ、さらに磨きをかけ洗練させることが可能だと感じました。しかもそのレストランは小さく、雰囲気もサービスもさほどよくはありませんでした。

ちょうど私たちの横のテーブルに、可愛い少女が一人で座っていました。彼女は、食生活をローフードに切り替えたところ、人生がガラリと変わり至福を感じるようになったものの、ローフードレストランがお洒落な雰囲気ではないので、友人たちを連れていくことができなく残念がっていました。彼女はポツリと言いました。「誰かが素敵なローフードレストランを開店させてくれないかしら!」。その瞬間、私の心の中で、ついに自分が何をすべきかがハッキリとわかり、彼女の言葉の重みが増していきました。洗練されたエレガントなローフードレストランを開店させよう、そう私は決意しました。  次号へ続く……。

バッド・ヴィーガン サルマ・メルンガイリスの栄光と転落
バッド・ヴィーガン サルマ・メルンガイリスの栄光と転落

掲載号:veggy(ベジィ) Vol.7 野菜deデトックス

キレイを叶えるココロとカラダのお掃除

身体がほっこりする野菜レシピ6品/ファスティングで過食人生に別れをつげる/人も地球もキレイにするとっておきアイテム/今すぐ週末デトックス旅行へ

デジタル版でこちらからご覧いただけます→https://www.fujisan.co.jp/product/1281682885/b/287903/

Sarma Melngailisis
サルマ・メルンガイリス

アイビーリーグの名門校、University of Pennsylvania Wharton Schoolを卒業後、投資銀行に勤務。その後、フランス料理学校に通い起業し、世界初のローフード・フルコースを提供するピュアフードワインをオープン。2015年に閉店。

後藤千枝(コーディネート&翻訳)

2006年、米国Living Light Culinary Art School公認アソシエートシェフ&インストラクター(ロー・リビングフード)。著書「見えない糸に操られ」、翻訳本「天使の料理」。

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