アメリカ・カリフォルニア州。ロサンゼルスやビバリー・ヒルズに隣接し“クリエイティブ・シティ”とも呼ばれるウェスト・ハリウッド市は今月、環境や公衆衛生、動物福祉への影響を軽減することを目的に、市が主催するすべてのイベントや会議において提供される食事はプラントベースの食品や飲料品を標準とする画期的な決議案を可決しました。動物性食品は要望があった場合にのみ提供することを義務づけています。
この施策はチェルシー・リー・バイヤーズ副市長が動物愛護団体「Mercy For Animals」と共同で策定。同団体のCEO兼リア・ガルセス氏は「私たちはこれまでプラントベースのフードシステムへの移行を呼びかけてきました。ウェスト・ハリウッドでこの政策の導入を支持してくれたバイヤーズ副市長に大変感謝しています。より多くの人々が健康、環境、動物のために植物性食品を選択する中、Mercy For Animalsは地方自治体と協力し、一般消費者の購買にこの動きが反映されるように努めます。ウェスト・ハリウッド市がプラントベース食品を標準で提供することを約束したことを称賛します」と話しています。
同市のこの新しい方針には、地域住民のボランティアや生物多様性センター、「Greener by Default」などの団体による賛成の証言も行われました。
ウェスト・ハリウッド市の政策文書では、「現在の食の基準では、文化的または宗教的な食事制限や特定のアレルギーを持つ人、医師から処方された食事療法を実践する人々にとっては、肉や乳製品が中心になりがちなイベントでの食が困難になる可能性がある」と指摘。植物ベースの食品が標準になることは、アメリカで3,000万人から5,000万人が持つとされる乳糖不耐症の人々にもメリットがあると考えられています。
画期的な前例となるかに期待が集まる
Mercy For Animalsは今年2月、アメリカで最も人口の多いロサンゼルス郡と協働し、同郡のフードサービスにおいてより多くのプラントベース食品を購入、販売、提供するための取り組みを推進する法律も制定していましたが、より具体的な施策となる今回のウェスト・ハリウッド市で可決された決議案は、公正でサステナブルなフードシステムの構築をミッションに掲げる同団体にとって、大きな勝利を意味します。
この新たな政策は、他の都市に先例を示すだけでなく、プラントベース中心の食生活のメリットが広く認識されつつあることを明らかにしています。植物由来の食品の提供を標準とすることで、ウェスト・ハリウッド市はより健康的でサステナブルな未来に向け一歩を踏み出しました。これがモデルケースとなり、ほかの都市でも大規模な食のシフトが行われるか、期待が高まります。
※参考
Breaking: West Hollywood Passes Policy Requiring Plant-Based Food as Default at City Events|VegOut
West Hollywood Announces ‘Groundbreaking’ Plant-Based Policy|Plant Based News
文・西田宏次朗