アメリカのプラント・ベース肉製造会社Beyond Meat ② ~ファストフードチェーンがこぞって使いだした魅力とは~

Clean Living !!
こんにちは。料理家/Cal Vegan和菓子作家のTerumi Kogaです。上白糖を使用せず、オーガニックや自然由来の食材で作る「Cal Vegan和菓子」を考案し、食を通して和文化を発信しています。

“Clean Living”とは清潔な生活というだけでなく、衣食住を通して心身ともにオーガニック、エコ、サスティナブル、ドラッグフリーな生活をめざそう!というヴィーガン達のライフスタイルのことも示しています。

前回に続き、今回はBeyond Meatへのインタビュー内容をご紹介します!

~ハピネス!ジューシー!~

広報担当のアリソン・アロノフ氏へのインタビューです。

古賀(以下古) 日本初のベジタリアンマガジン『veggy』のインタビューを受けてくださり、ありがとうございます! 早速質問させていただきたいと思います。
まず、Beyond Meat創業の経緯は?
アロノフ(以下ア) こちらこそありがとうございます。
我が社の創業者かつCEOのイーサン・ブラウンは、子供の頃から日常的に動物達と触れ合う生活を送ってきました。彼は次第に「動物から肉を取ることが必要なのか? 植物から肉に替わるものを作れたら、環境にもいいはずではないか?」と思うようになり、代替肉の製造会社を立ち上げることにしたのです。そして2009年、エル・セグンド(カリフォルニア州ロサンゼルス)でBeyond Meatがスタートしました。

 日本で代替肉というと大豆ミートが主流ですが、Beyond Meat製品は大豆も使っていない「大豆フリー」なんですよね。
 例えばハンバーガーであれば、プロテインとしてインゲン豆、ファットとしてココナッツオイルを使っています。食感を出すためにポテトスターチを使い、ビーツで本物のお肉のように色付けしています。全ての食材が、どこでも手に入りやすい、アメリカ人に馴染みのある食材で作られているんですよ。
また、全てグルテンフリー、抗生物質不使用、遺伝子組み換え作物不使用です。ヴィーガンの人はもちろん、食品に色々なアレルギーを持つ人でも心配せず楽しめるのです。
 アリソンさん、日本食はお好きですか?もし日本食にBeyond Meatを使うとしたら、どんな可能性があると思いますか?
 そうですね、私はそこまで日本食に詳しいわけではないけれど、例えばトンカツ、餃子、ラーメン、焼きそばなど、日本食はバラエテイーが豊かなので、その分たくさんのメニューに取り入れられると思います。
 Beyond Meatは、ヴィーガン向けのフェアに積極的に出店していますが、そうした場所で初めてBeyond Meatの製品を試した方は、どんなリアクションをされますか?
 驚きと喜びを伝えてくださいますね。「ハピネス!!ジューシー!!」って。何もサクリファイスしていない(犠牲を伴っていない)という気持ち、地球を救っているという喜びを感じると。
 素晴らしいですね!
 アメリカにはたくさんの糖尿病患者がいますが、Beyond Meatの製品は彼らにとっても安心できるものだと思っています。
 最近は、アスリートの間でも、プラント・ベースのプロテインに替える人が増えているようですね。
 そうなんです。つい最近まで、多くのアスリートが「肉を摂ることで強くなる」と信じていました。しかし、植物性食材は動物性のものよりコレストロールが低く、プロテイン豊富な食材もあることが知れ渡ってきた今、植物性プロテインは絶大の信頼度を誇っています。

 最後に日本の『veggy』読者へメッセージをお願いします。
 Beyond Meatの製品は「肉を食べたい」と思う人のために作られたものです。あなたがハンバーガーやソーセージを食べたいとき、普通のお肉の代わりにプラント・ベースのお肉を選択することによって世界の環境問題に貢献できますし、健康的にも安心して食べることができるでしょう。
Beyond Meatはシンガポール、台湾をはじめとするアジア各国にも拡大しているので、皆さんも今後食べる機会があるかもしれませんが、きっと気に入っていただけると信じています!
これからもグローバルに、美味しくてサステナブルな商品開発にチャレンジし続け、イノベーションを起こしていきたいと思います。

~これからの私たちが歩む道~

私が初めてBeyond Meatのお肉を食べたのは、ヴィーガン専門のファストフードチェーン店でした。その店のハンバーガーやバッファローウイングを食べたとき「これだったらもう普通のお肉は必要ないかもしれない!」と感じるほど満足感がありました。それに、日本人は元々「和食」という尊い食文化を育んできた、菜食に馴染み深い人種なのです。

30年ほど前に「ベジタリアン」という言葉が日本で出回り始めた頃は、ファッション性の方が強かったかもしれません。しかし現在は「ヴィーガン」という言葉も頻繁に聞かれるようになり、日本人の意識も確実に変わってきていると思います。それは受け入れ側が柔軟になったからというより、世界的に環境・気候問題が深刻化しているため、状況を認めざるを得ないからというのが大きいでしょう。
日本人の多くは健康や環境問題に興味を持ってはいますが、日常生活においてはいまいち消極的です。コンビニのビニール袋、お箸やスプーン、デパートの過剰ラッピングなど、日本ならではのサービスですが、少々度を越しているように思います。これを「おもてなし」とみなして今後も続けていくのだとしたら、いつか大変なしっぺ返しをくらってしまうでしょう。

プラスチック製品の使用、必要以上の肉や魚の捕獲、車や飛行機からの排気、森林伐採、ゴミ処理等によって起きている気候変動や食料問題、人々の健康や動物保護のことまでを描いた映画『不都合な真実』(2006年)は、ショッキングなドキュメンタリーとして世界中に広まりました。その公開から今年で14年。私たちが他人事のように映画を見て、何もせずに過ごしていた結果の深刻さを、今目の前に突き付けられています。
イーサン・ブラウン氏は起業家であり、食品業界の革命家であり、ビジネスマンでもありますが、それ以前に地球や家族や動物を愛する一人の人間であることを、同世代として嬉しく思っています。彼のようなイノベーターにただ託すばかりではなく、自らも積極的に関わっていくことが私たちのミッションではないでしょうか。

Clean Living!!
一つずつ、少しずつ。

*Beyond Meat https://www.beyondmeat.com/

Terumi Koga
料理家、「Cal Vegan和菓子」作家。カリフォルニアを拠点に料理教室、レシピ開発など幅広く活動。ヴィーガンで身体に優しい和菓子「Cal Vegan和菓子」(2019年商品登録取得)はスーパーフードなどを使用した和洋のエッセンスが楽しいお菓子。
料理、和菓子を通して海外に和文化を発信している。
http://www.terumikoga.com/

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