こんにちは、べジィ編集部です。ドイツに在住のイラストレーター・KiKiさんに、
ドイツのパワースポットについて書いていただきました。
【ドイツのパワースポット】
シェーネベルク南地域自然公園
Natur-Park Schöneberger Südgelände
3月の最後の日曜日。
太陽の光が部屋の窓から差し込んできて、幸せな気持ちに包まれました。
寒い曇りの日が長く続く冬が終わり、ベルリンにもやっと春がやってきた様です。
薄着の上着に衣替えをして、電車に乗り込みます。
目的地は、『シェーネベルク南地域自然公園(Natur-Park Schöneberger Südgelände)』です。
この公園は、元は広大な鉄道の操車場。
長い間ベルリンの主要駅だったアンハルター駅が使われなくなり、
その近くにあった操車場であるこの場所も役割を終えました。
その後、少しずつ自然たちが息を吹き返してゆき、残された18ヘクタールの面積に
「原生林」が生い茂る幻想的な場所に生まれ変わります。
一度新しい貨物駅の建設計画が持ち上がりましたが、
自然に多くの関心を持っている市民たちが猛反対。この計画はなくなりました。
現在は環境保護財団からの財政支援を得て、美しい野生の自然を感じられる公園として運営されているのです。
そんな市民から愛される自然公園に、今回は行ってみることにしました。
電車に揺られること、30分。Priesterweg駅を降りると目の前が、『シェーネベルク南地域自然公園(Natur-Park Schöneberger Südgelände)』です。
入場料の1ユーロを支払い中に入ると、公園前の広場では『春のお祭り』が行われていました。
子供向けの遊びや、ワークショップが行われているようです。子供たちの楽しそうな笑い声が響き渡ります。今日はお天気の良い、日曜日。たくさんの家族連れで賑わっています。
彼らが座っているのは、芝生の椅子。
座り心地が気になって、私も少し座ってみました。アルプスの少女ハイジのベッドを連想してふわふわなのかなと思いきや、以外としっかりとした座り心地でした◎
さあ、早速公園の中に入ってみましょう。
中に入ると、木々たちが勢いよく生い茂る森が広がっていました。その中に細い道があって、それが私たちに森の中の歩道として提供されているみたいです。
ここで、深呼吸。緑の味が、肺いっぱい。鳥たちのさえずりも、とても心地の良い音色です。
この細いなが〜い道の、両サイド。よくよく、見てみてください。
ほら!
そう、もうすでにあたり一面が電車の線路なんです。
そして生き生きとした野生の木々たちが、線路の上をまるで闊歩しているかの様に、堂々と生い茂っています。
この木は、なんだか踊ってるみたい。
日常生活では、なかなか見かけることのない面白い自然たちの姿を見つけることができて、なんだかつられて笑みがこぼれます。
この公園を歩いていると、主役は自然たちで、私たちは彼らの住処にお邪魔しているんだなあと、強く感じます。
さらに奥の方まで歩いて行くと、周りの景色がひらけてくるところに出てきました。
この木たちは、なんだか、立ち止まって森の外の景色を眺めて楽しんでいるみたい。
森の外の向こう側には、現役で走る電車たちの様子も見ることができます。
時々すれ違う電車たちを見るたびに、なんだかノスタルジックな気分になります。
公園をぐるっと一周して最初の場所に戻ってみると、また子供達のはしゃぐ声が聞こえてきました。気になって、向かってみました。
子供達が集まって、遊んでいるのは…
サビれた、ネジたち!
このスペースは、子供達が自由に遊ぶ場所として解放されていて、あたりには操車場で昔使っていた道具たちが、”遊び道具”として並べられています。
操車場が廃止されて、もう使われなくなってサビれたネジや何かの部品や装置たちも、子供たちの豊かな想像力が加われば最高の遊び道具アイテムへと大変身していくのです。
なんでも最高の遊びに変えてしまう子供たちも、このアイディアを考えて、このスペースをつくった大人たちも、なんて素敵なのだろう、感動しました。
人間たちがつくった、鉄道の操車場。それが使われなくなって、自然たちがまた生き生きと暮らし始めた場所。
それを美しいと思った市民達が、この場所の保護を決め、自然公園として共存していくことを決めました。木々たちも、訪れる私たちを優しく迎え入れてくれているように感じます。
まさに自然と人間たちが歩み寄って、仲良くしていくとはこういうことなのではないでしょうか。
常に新しいものをつくり出さなくても、すでにあるものの見方を変えたり、少しのアイディアを加えれば、それはとても素敵なものに生まれ変わる可能性をすべてのものが持っている。
そんな大切なことを全身で感じられる、パワースポットでした。
シェーネベルク南地域自然公園(Natur-Park Schöneberger Südgelände)
住所:Prellerweg 47-49, 12157 Berlin
時間:朝9時から、日が暮れるまで。
入場料:1ユーロ(14歳以下は無料)
URL:www.suedgelaende.de
KiKi
西伊豆の小さな村出身。 2012年京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業後、同大学マンガ学科副手を3年間務めながら、フリーのイラストレーターとして活動開始。カラフルな色合いのイラストを得意とし、独自の世界観を描いている。2016年夏より、『オペア留学制度』を利用してドイツ・ベルリンに移住。2018年夏、アーティストvisaを取得。引き続きベルリンを拠点にイラストレーターと、自身の経験や海外の情報などを発信するライターとしても活動している。
ポートフォリオサイト : http://kiyonosaito.com/ Instagram : @kikiiiiiiy