意外と知らない日本茶のこと Vol.2

第一回目は「お茶と健康」について書かせていただきました。お茶が健康に良さそうだとうのは何となくお分かりいただけたかと思います。では実際どうやって淹れれば美味しく飲めるのか、気になるところだと思います。ですので第二回目は「煎茶の淹れ方」について。書いている途中で長くなってしまいましたので何回かに分けて書かせていただきたいと思います。

 

日本茶の淹れ方については沢山情報が出ています。経験上、調べれば調べるほど分からなくなってきます。書いてあることが微妙に違っていたり、何を指しているのか曖昧だったり。沢山ある情報の中から何が良いのか検討するのは、かなりお茶が好きな人でないと大変なのではないでしょうか。そこで、私なりに調べたことや経験したことをご紹介しますので参考にしていただければ幸いです。何かのご縁でこの記事をご覧いただくことになったわけですが、ついでに知ることができて良かったな、くらいの軽い感じで読んでいただけたらと思います。

 

どれくらいの金額の、どんなお茶を想定しているのか

最初にお茶の淹れ方で取り上げるのは「日本茶」「緑茶」「煎茶」という言葉でおそらく多くの方がイメージする馴染みのある、あの緑色のお茶です。日本の煎茶の多くは蒸して作る蒸製煎茶で、酸化しないようにできるだけ早い段階で蒸しているため、乾燥した茶葉も緑色を留めています。

金額だけで決められるものではないのですが、今回は100g 1,000円前後のお茶を想定しています。いろいろなところで目にする「お茶の淹れ方」の項目で「上級煎茶」というものが出てきますが、それはこの価格帯もしくはそれ以上の価格のお茶のことを指しています。もちろん、これより安くて品質の良いお茶、美味しいお茶はありますし、場合によってはその逆もあるのですが。私がよく買うお茶も大体この価格前後、もしくはそれ以上のものが多いです。

 

どこでお茶が買えるのか

お茶屋さんが近所にあれば勇気を出してお茶屋さんに行って買ってもらいたいのですが、スーパーや百貨店の地下でも日本茶は買えます。また日本各地で日本茶カフェが増えてきているので、そういったお店で茶葉を購入するのも楽しいのではないでしょうか(余珀でも販売しています) 。

ただ、やはり一番便利なのはインターネット通販での購入です。ほとんどのお茶はネットで探すことができますし、ネットでの販売は年々増えてきている印象です。お茶のサブスクリプションも新しく、趣向を凝らしたものが次々と登場しています。

有機栽培や自然栽培、農薬不使用、化学肥料不使用のお茶が良いという方もいらっしゃると思いますが、お茶全体の生産量に占める割合は実はまだたったの数パーセントなんです。それでも、5,6年前に比べると格段に情報は増えましたし、ネットで調べてみても沢山見つかるようになりました。スーパーでも有機栽培のお茶は購入することができますので、ぜひ探してみてください。

 

深蒸しの煎茶と普通蒸しの煎茶

日本の多くの煎茶は蒸製とお伝えしましたが、一般的に煎茶は「普通蒸し」「深蒸し」と、蒸し時間の長さによっても分けられています。今回は普通蒸しと言われるお茶の淹れ方について、まず書かせていただきます。蒸し時間が長いものが深蒸し(普通蒸しの2倍から3倍の蒸し時間) と言われ、普通蒸し(茶葉によって蒸し時間25秒から45秒程度) のお茶に比べてお茶の葉が細かくなります。前述のように、ある程度の蒸し時間の目安はあるのですが、何秒以上蒸したら「深蒸し」でそれ以下が「普通蒸し」、というのは厳密に定義づけされているわけではないとも言われています。実際に、「やや深蒸し」、「中深蒸し」といった表現もあり、「上級煎茶」「普通煎茶」という表現とともに、良い意味で (?) 日本茶の曖昧さを感じざるを得ません。

 

どんな水が良いのか

お茶の成分は約99.7%が水と言われており、実はほとんどが水です。そのため、水によってお茶の美味しさが大きく左右されます。

まず軟水か硬水かでいうと、軟水が適しています。硬度は30~80mgが良いとされ、120mgが上限と言われています。好きな軟水のミネラルウォーターがあればそれを使用するのが良いと思いますが、日本の場合は水道水でも問題ありません。

水道水を使う際はできれば浄水器を使って塩素などを除去し、さらに3~5分程度やかんのふたを開けて沸騰させるのが良いとされます。

沸騰させたお湯の温度を下げてから使った方が良い、とよく聞くと思います。なぜ水を沸騰させた方が良いのか、ということについては以下の点が挙げられます。

 

  • 残留塩素を減少させ、塩素臭を抜くため

日本の水道水は安全性確保のため水道法によって遊離塩素の濃度が決められているため、美味しくお茶を飲むためにはある程度塩素を抜く必要があります。浄水器を通した水を置いておく場合は殺菌効果が減少するため、浄水器を通して塩素を取り除いた水でも殺菌のために沸騰させる意味があるとも言えます。

 

  • お茶の味を引き出すため

沸騰させずに低い温度のお湯を使うと、急須の中の葉が泡に包まれて沈まなくなり、お茶が薄くなってしまうことがあります。また、沸騰させることにより水の分子が振動すると分子が細かくなり、お茶の中に水の分子が浸透しやすくなるという考え方もあります。沸騰させるのは大事ですが、煎茶にはある程度爽快感が必要とされるので、空気や炭酸ガスが抜けすぎたり水が蒸発してイオン濃度や硬度が高くなったりしないよう、長時間 (1時間とか) 沸騰させ続けるのは避けた方がよいとされています。

 

  • 硬度を下げるため

適した硬度の軟水が使用できる場合には該当しませんが、硬水を使用せざるを得ない場合はこの点も少し考慮していただくと良いと思います。硬水には永久硬水と一時硬水があり、永久硬水は沸騰させても硬度は下がりませんが、一時硬水は沸騰させることにより硬度が低くなりますので、よりお茶に適した硬度に近づけることができます。

 

鉄瓶のお湯について

一般的に鉄瓶のお湯で飲むお茶は美味しいと言われ、そういうイメージをお持ちの方も多いかと思います。かく言う私も5年ほど鉄瓶で沸かしたお湯でお茶を飲んでいて、白湯として飲んでもまろやかで美味しくなるのを実感しています。しかし、いくつか試した結果、鉄瓶のお湯が合うお茶もあり、鉄瓶のお湯でない方が良いかも知れないというお茶もあるという印象です。

鉄瓶でお湯を沸かすと鉄分が摂取できるという健康面での更なるプラスの要素もありますが、角が取れる、渋みがまろやかになるのが、そのお茶にとってそのままプラスに働くのか、もしくは少し物足りない味になってしまうのかは、その人の好みや感じ方次第でもあります。手元に鉄瓶がある方は鉄瓶のお湯とそうでないお湯でぜひお茶の味の違いも楽しみながら試していただければと思います。

 

最後に水と言えば、お茶が育った場所の水で飲むのが一番美味しい、ということについては異論をはさむ余地はないでしょう。あらゆるところでこのように書かれているのを目にしますし、多くの方が口をそろえてそうおっしゃいます。実際に茶畑を前にして飲むお茶はその場の体験を含めて、ごく控えめに言って最高です。

昨年はあまり動くことができずお茶の産地に足を運ぶことができませんでしたが、皆さまも今年どちらかお茶の産地に行く機会があればぜひ現地のお水でお茶を飲み、お土産に沢山お茶を買って帰ってほしいと思います。自分も休みを取ってこれが実現できるよう、日々頑張りたいと思います。

今回は予定外に前置きで終わってしまいました。次回こそは「煎茶の淹れ方」について書きたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

(参考文献: 日本茶インストラクター講座 第2巻NPO法人日本茶インストラクター協会 2013年 / 日本茶のすべてが分かる本 NPO法人日本茶インストラクター協会 2012年 / ゼロから分かる!日本茶の楽しみ方 株式会社 世界文化社 2018年/ 日本茶の事典 スタジオ タック クリエイティブ 2018年 / 緑茶の事典 日本茶業中央会 2005年 / おいしい日本茶の事典 成美堂出版 2002年)

 

文・写真/正垣克也

カフェ「お茶と食事 余珀」店主、日本茶インストラクター。茶道と日本茶、オーガニックでプラントベース なライフスタイルをゆるりと発信中。お店では身体にやさしい食事やお茶、リラックスできる空間を提供する。

Instagram:@shogakik

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