2年間のヴィーガン生活を振り返って思うこと

2月から始まったNPO法人日本ヴィーガンコミュニティ代表の工藤柊さんの連載!
今回は第2回目です!

 

2年間のヴィーガン生活を振り返って思うこと

veggy ONLINEをお読みの皆さん、こんにちは!先月から月一で連載している、ヴィーガン初心者の味方、工藤柊(@itllbedark)です。

高校3年生からヴィーガンを始めて、今ではNPO法人の代表を務めるまでになった僕の経験や思いをこの連載を通じて伝えていきたいと思います。先月の投稿では、僕がヴィーガンの活動を通して実現したい“Hello Vegan!”な社会について紹介しました。

“Hello Vegan!”と笑顔で迎え入れられる社会を目指して

今回の記事では、僕が2年間ヴィーガンとして生活してきたことを振り返って、どんな経験をしてきたか、そして2年経った今思うことについて書いていきたいと思います。ヴィーガンやベジタリアン始めたての方や、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

1.ヴィーガンを始めたきっかけ


まずは、僕はヴィーガンを実践し始めるきっかけになった出来事をお話します。ヴィーガンに出会ったのは2016年11月、まだ僕が高校三年生の頃です。その頃は受験勉強真っ只中で、図書館で夜まで勉強して帰宅する間に、“ぺちゃんこの猫”を見たことがきっかけでした。

車に何度も轢かれてしまっていて、近づかなければ猫かどうかもわからない状態のその猫を見て、大きなショックを受けました。それは、学校で習った飢餓や紛争、環境問題の犠牲になる人々と同様の、何の罪もない存在が苦しまなければならないという不条理に対する怒りの感情でした。今となっては、僕も丸くなりましたが、当時は正義感の強い少年だったので、その猫が殺されてしまったという事実を、尚更許すことができなかったのです。

そして、道路にへばり付いてしまっていたその猫をどうすることもできず、自宅に帰ってすぐにパソコンを開きました。猫が車に轢かれる事件や、そこから派生して犬や猫の保健所での殺処分についても調べました。その先に見つけてしまったことが、畜産業における畜産動物への扱いでした。そこでは何の罪もない存在が、毎日何万、何十万と殺されていたのです。

さらに、畜産業が食肉などを生産することを、僕自身の消費活動によって促していたことにも気がつき、自分がお肉や卵、乳製品を消費してもいいのかがわからなくなってしまいました。そして次の日の朝に、母親に動物性の食品を一切食べないようにすることを告げ、僕のヴィーガン生活は始まりました。

2.1ヶ月目は水炊きとおにぎり生活


突如始まった僕のヴィーガン生活ですが、まず最初に困ったのは当たり前ですが、「何を食べればいいのか」ということでした。ヴィーガンを始めるまでは、ほぼ全ての料理に使っていたお肉や卵、牛乳などの動物性の食材を急に使えなくなってしまえば、卵かけご飯が得意料理だった男子高校生は途方に暮れてしまいます。

それまで料理を作ってくれていた母親でさえ、急に動物性を使っていない料理に対応は難しく、最初の1ヶ月は水炊きとおにぎり生活を送っていました。家での食事はお鍋に野菜を入れて、ポン酢につけて白米を頬張っていました。学校では塩むすびを持って、昼休みに頬張っていました。今となっては笑い話ですが、当時は「これがヴィーガンの洗礼か…!」とまで思っていました。

3.ヴィーガンのお店や食材、仲間に出会う


しかし、ヴィーガンを始めて1ヶ月が過ぎた頃、大阪にヴィーガンの飲食店があることや、商品があることを知りました。二度と食べることはないと思っていた唐揚げやハンバーグ、ハムやチーズなどが植物だけでも再現することができるとは夢にも思っていなかったので、心の底から驚き、喜びました。

それから、最初から諦めてしまっていたことを反省し、色々な情報を集め始めてヴィーガンの食品やお店に回り始めました。それまでは日本に3人くらいしかヴィーガンがいないと思っていたほどでしたが、これだけお店や商品があるならもしかしたらヴィーガンを実践する仲間がいるのかもしれないと考え、調べてみると大阪で開催されるヴィーガンフェスを見つけ、参加してみることにしました。

そのフェスに参加し、人生で初めて自分以外のヴィーガンやベジタリアンの人と関わることができました。しかも、一気に数百人もの人が集っていたので驚きました。そこには僕と同じくらい若い人も参加していて、今でも仲良くしているヴィーガン仲間と出会うことができました。

彼ら彼女らとは、それからも何度か食事に行ったり、若いヴィーガンの人たちを集めてLINEグループを作ったり(今では50名を超えました)と、仲良くなっていきました。仲を深めていくにつれて彼らの優しい人柄を知り、しかしその一方で彼らがヴィーガンとして生きづらい今の日本の社会は課題だと感じ、そんな状況を変えたいと思うようになりました。

4.様々な活動を始める


ヴィーガン仲間が生きづらい社会をどうにかしたいと思い、大学に入学してすぐに団体を立ち上げ、大学食堂にヴィーガンメニューを導入する活動を始めました。活動を進める中で、ヴィーガンが暮らしやすく、誰もがヴィーガンを実践することができる社会を実現することこそ自分がやりたいことだと確信することができました。

そして、大学食堂のヴィーガンメニュー導入サポートの他にも、ブログやYouTubeでの情報発信やヴィーガンカフェの店長、ヴィーガンイベントの開催など、様々な活動を行なってきました。その結果、多くの人に喜んでもらえた一方で、悲しいことに自分一人で理想とする社会を実現することはできないと気がつきました。

しかし、一人では社会を変えることができなくても、同じ思いを持つ仲間と力を合わせれば変えることができると信じて、2018年11月にNPO法人日本ヴィーガンコミュニティを設立し、現在70名以上のメンバーと共に誰もがヴィーガンを実践できる”Hello Vegan!”な社会を実現するために活動しています。

5.2年間の感想


これが、僕がヴィーガンを始めてから現在(2019年3月)まで、2年間の生活でした。それなりに充実した2年間であっという間でしたが、いくつか辛いこともあったのも事実です。しかし、ヴィーガンを実践していたからこそ出会えた人がいて、手に入れられた機会もあったことを考慮してトータルで見ると、ヴィーガンを始めて良かったと心から思います。

今、ヴィーガンやベジタリアンを実践しようかなと迷っている人がいたら、まずは1日やってみることをお勧めします。できれば1週間2週間ほど続けてみると、何を食べられるのか、どのお店にいけるのかがわかってきて、段々と不便がなくなっていくようになると思います。

もちろん、始めてみる際は既に実践している人に、協力してもらうのが一番です。誰でもいいですが、周りに頼れる人がいなければ、何か質問や困ったことがあれば僕のツイッター(@itllbedark)にでも相談していただければ、少しだけ先輩として助言できたらと思います。ヴィーガン初心者の味方なので!

では、来月もお楽しみに!

工藤柊/kudo shu

2016年、高校3年の秋にぺちゃんこの猫を見てヴィーガンに。神戸大学入学後、誰もがヴィーガンを実践できる“Hello Vegan!”な社会を目指して、大学食堂へのヴィーガンメニュー導入、ヴィーガンカフェの店長などの活動を行う。2018年大学を休学しNPO法人日本ヴィーガンコミュニティを創設。ブログやYouTubeでの情報発信も行う。

ブログ「そうは言っても工藤さん」:http://kudoshu07.com/

YouTube「ヴィーガン初心者の教科書」:https://www.youtube.com/channel/UCnyHAlvD5qmqYa4SAQ6z2bw?view_as=subscriber

ツイッター:https://twitter.com/itllbedark

日本ヴィーガンコミュニティ公式HP:https://hellovegan.jp/

 

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